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2024年1Q ケリングの事前開示について – 大幅な売上ダウン予測

今回はケリングの2024年1Qの売上見込みが非常に厳しいと、突然のアナウンスが先日されたので、少し解説してみようと思います。

日本の場合は、適時開示の基準から売上については予想や実績と売上で上下10%乖離がある場合は、適時開示を行うとされています。

具体的な基準は下記のとおりであり、日本取引所グループの出典元も記載しておきます。
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6851.html
1.新たに算出した予想値又は当連結会計年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前連結会計年度の実績値)で除して得た数値が
a.連結売上高にあっては1.1以上又は0.9以下

b.連結営業利益にあっては1.3以上又は0.7以下

c.連結経常利益にあっては1.3以上又は0.7以下

d.親会社株主に帰属する当期純利益にあっては1.3以上又は0.7以下

日本の開示においては、この適時開示特にマイナスの方向への開示については投資家が事前に予測しているものでない限り、バッドサプライズになり株価が大きく減少する事が多いです。

さて、本題のケリングですが3/20に突然HPでアナウンスがされました。ざっくり言うと、2024年の1Qの売上では前年比*%の減少を予測しており、為替も考慮した公表数値ベースでは10%の減少と予測しているとの事でした。そして、うちグッチに限っては20%近くの減少を予測しているようです。

ちなみに、同アナウンス内にて少し要因も触れられておりAPACでの落ち込みが大きいとの事でした。恐らくこれはAPACの中でも中国が最も大きい要因と思われます。中国リスクは昨年のアナリストとのセッションにおいても質問が出ていたところではありますが、そこが具現化した形と言えるかもしれません、

私自身、3社のレポートを追跡するようになって約2年ですがこのような開示がなされたのは、初めてだと思います。ケリングの業績が厳しく、減少幅が拡大しているというのは以前のブログでも記載していたとおりであり、1Qも恐らく拡大するとは思っていましたが2桁は想定外でした。

通常、固定費などもあるため、営業利益ベースでの減少は当然10%では済まずかなり大幅な減少が予想され、同時にキャッシュフローも気になります。

これによるケリングの株価の状況ですが以下のとおり、発表直後に大幅に下がっています。出典はBloombergになります。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/KER:FP

少し驚いたのが、この影響を受けてLVMH, Richemontについても同様に下落しているという点です。具体的にこの2社については、いまのところネガティブ情報はなかったのですが、トップ3の一角であるケリングが上記のようなアナウンス出したので、業界全体が落ち込んでいるとの予想がされたものと思います。

もうすぐ1Qの速報がLVMHを皮切りに発表予定なので、状況を引き続き注視していきたいと思います。