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プラダがベルサーチェを買収 – イタリアブランドの大型買収

最近ラグジュアリーブランドの大型買収のニュースは暫くなかったのですが、久々にニュースが飛び込んできました。その内容がタイトルにもあるとおり、プラダによるベルサーチェの買収になります。

今回の報道は一般紙の読売新聞にも取り上げられていました。
プラダがヴェルサーチェを2000億円で買収へ : 読売新聞

報道によると約2,000億円での買収金額になるようです。このニュースを見た際の私のファーストインプレッションですが、実はそこまで驚きませんでした。昨年前半くらいまでは、もしかするとグッチが買収するかもと考えてはいたのですが、昨年中盤以降のKERING大失速 + ヴァレンティノの件もあり資金的には難しいかなと思いベルサーチェの件はそれ以降マークはしていませんでした。

ベルサーチェを保有するカプリ・ホールディングスは、他にもマイケール・コースなども展開しています。アメリカ最大のブランドグループである、コーチなどを展開する米タペストリー社がカプリ社を買収する計画が発表された際にも話題になりましたが、結局この買収劇は米連邦地裁が買収を差し止める判決を出したことにより白紙になりました。

こうなると、カプリ社としては財政立て直しを早急に実施する必要があり、その一つが保有ブランドの切り売りの手法になります。コングロマリットでは、このようなブランドの切り売りは過去何度も行われてきたので、手法としては目新しいものではありません。

また、カプリ社の保有しているブランドのなかでは、明らかにベルサーチェが価格帯やブランドのテイストも異なり異質な状況になっていたので、個人的にはこの売却はカプリ社にとっても売却されるベルサーチェにとっても良かったのではと思います。

ただ、一方で買収したプラダとしては非常に難しいかじ取りが待っています。ベルサーチェは様々な方法で立て直しを図ってきましたが、最盛期の人気には遥かに及ばない状況になっており低迷期が続いています。一方、プラダグループは基幹ブランドであるプラダブランドの好調さや、それを遥かに上回るMiu Miuの大躍進などもあり2025年現在ではエルメスと並んで好調なブランドと言えます。しかしながら、LVMHやRichemontとは異なり、ブランドを立て直して再建させるという点を基幹ビジネスとして行っているわけではないので、果たして不調のベルサーチェをどのように立て直していくのか、という点に非常に注目をしています。