コラム

ジャガールクルトのレベルソ展 – 新しい形態のイベント

先週開催されていた、ジャガールクルトのレベルソ展に立ち寄ったのでイベントの紹介を少し。カルティエのウオッチ展とはまた別のイベントの方向性を見せてくれて、面白いイベントでした。

もともとは、イブサンローラン展を観覧する予定だったのですが駅にレベルソ展のポスターが展示されており、こちらも立ち寄ってみることにしました。すでにイベントは会期終了してしまっているので、イベント開催期間や場所の記載は省略させて頂きます。

ジャガールクルト – REVERSO TIMELESS STORIESの内容

レベルソと言っても何のことだか分からずという方も多いと思うので、少しだけ説明をさせて頂きます。

リシュモン参加の高級時計メーカーであるジャガールクルトの最も有名なアイコニックモデルがレベルソになります。

レベルソの実機も幾つか展示がされており、写真はそのレベルソの中でも複雑機構を搭載したモデルになります。ここまでくると、まるで工芸品のような美しさが感じられます。

カフェの出店もあり、QRコードによる質問に答えると、ドリンク若しくはチョコレートが無料で提供されるというサービスも実施されていました。

訪れていた方たちは、大半がQRコードによる質問に回答してドリンクを楽しんでいました。

そして、下記の写真はアンケートに答えて頂いたドリンクになります。ドリンクカップまで黒とイベントとの統一感を保っています。また、レベルソに関する新聞も作成されており、細かいところまでのこだわりを感じました。

マーケティングの視点から

ジャガールクルトはもともと、極めて品質の高い時計を製造するブランドとして非常に有名です。その例として、IWCも以前クオーツ時計のムーブメントにジャガールクルト製を使用していたこともあるほどです。ただ、卓越した技術力の高さに比してブランド知名度がカルティエなどと比してまだ低いという事もあり、認知の向上というのが至上命題だったと想定されます。

このようななか、イベント手段として、事前予約不要かつオープンに立ち寄れるというカジュアルな形式を取ることで敷居の高さを一切排除しています。これにより、それまでジャガールクルトを知らなかった人たちにも比較的容易にリーチが可能になります。また、カフェの併設がさらに立ち寄りやすさを促進しています。

ジャガールクルトの歴史やマスターピースの数から考えると、レベルソに限らず全ラインの腕時計を対象とすればパテックフィリップ展のような、製品を歴史とともに大量に展示という形でのイベント開催も可能だったと思います。

それをしなかったのは、まずは最初の段階としてブランド認知を広げるという点に重きを置いたためと考えられます。パテックフィリップの場合、ブランドの認知はある程度されており、その次のステージに重きを置いたため対象者へのアプローチの違いが生じています。

以下のカルティエ展の記事においても、時計展について記載していますので興味がありましたらぜひこちらもご覧ください。
Cartierウオッチ展から見る今後のラグジュアリーブランドの展示会の方向性