2021年の日本の高級ブランド市場の状況
2021年の日本における高級ブランド市場について、このコラムでは記述していきます。昨年は、コロナの影響でほぼ全ての高級ブランドが、非常に大きな影響を被ることになりました。
そこから2022年はどうなるか、という点は高級ブランド業界に勤務しているかたは、非常に注視していたと思います。結論から言うと、ブランドによって、好調・不調がハッキリと別れる結果になりました。
好調なブランドの筆頭としては、エルメス、ルイヴィトン、クリスチャンディオール、ロエベなどが挙げられます。これらのブランドは、Annual Report や全世界における日本マーケットの規模から推察すると、四半期ベースでは恐らくコロナ前の2019年の水準に戻っているか、超えているレベルと思われます。
一方、苦しんだブランドとしては、ファッションがメインのブランドである、グッチ、ゼニア、ロロピアーナ、ケンゾーなどが挙げられます。これらのブランドの共通点としては、①革小物やカバン等の割合が少ない②インバウンド率が高い、という点があります。コロナでリモートワークの促進がなされたこと、や海外旅行客が事実上入国不可能、となっていたことが、インパクトを与えました。このなかでも、特に紳士用ブランドは、さらに一段と厳しい状況にあります。
日本でも緊急事態宣言も明けており、人々の流れも街中に戻ってきており、オフィスへの出社比率も高まってきている、というニュースもありました。しかしながら、対面のミーティングがコロナ前の2019年のときよりも増える、ということはなかなか考えにくく、オフィス用の服、というのは、短期的のみならず中期的にも回復は難しいのでは、と考えます。
しかしながら、他方で、株価自体は引き続き好調であり、富裕層は引き続き存在しており、彼らの消費先、という意味で時計や小物等がその一つになります。その結果、先に述べた好調なブランドが、年末にかけても引き続きプレゼンスを発揮していくもの、と予想します。