コラム

【2025年3月決算分析】LVMH・リシュモン・ケリング3社比較|唯一のプラス成長はどこ?

今回は、2025年1Q(3月末時点)のIRデータをもとに、ラグジュアリー業界の大手3社(LVMH・Richemont・KERING)の業績を比較・解説していきます。


概要:3社の2025年1Q業績比較サマリー

企業名売上成長率主な特徴
LVMH▲3%ワイン&スピリッツ▲9%、日本▲1%
リシュモン+4%宝石+8%、時計▲13%、APAC▲13%
ケリング▲14%グッチ▲25%、APAC▲25%、日本▲11%

➡ 唯一プラス成長を記録したのは【リシュモン】でした。


LVMH:業界トップでも減速鮮明に

▷ Organic売上:▲3%

2025年1Q、LVMHのオーガニックベースの売上は▲3%。ワイン&スピリッツが▲9%と大きく落ち込んでおり、人員削減(1,200人)も報道されました。

▷ 地域別:日本▲1%、ヨーロッパ+2%

日本市場は微減(▲1%)ながら、過去の高水準と比較して健闘。ヨーロッパは引き続きプラス成長を維持しています。


Richemont:ジュエリー部門が業績を牽引

▷ 売上+4%で唯一の成長企業に

売上は前年同期比で+4%。宝石メゾンが+8%と絶好調。一方で時計部門は▲13%と不調が継続。

▷ 地域別:APAC▲13%、他地域は全てプラス

アジア圏(特に中国)の低迷は継続傾向。しかし他地域では安定成長が見られます。


KERING:グッチ苦戦、APACの落ち込み顕著

▷ 売上▲14%、グッチ▲25%

主力ブランドのグッチが25%減と大幅に落ち込み。新クリエイティブ・ディレクターデナムの就任が再建の鍵となるか注目。

▷ 地域別:APAC▲25%、日本▲11%

特にアジア市場の落ち込みが大きく、為替の恩恵にもかかわらず日本市場でもマイナス成長。


2025年のラグジュアリーマーケット予測

▷ ベイン:成長率予測を下方修正(▲2〜5%)

2025年はラグジュアリー市場全体で▲2〜5%の減少が見込まれています。中国経済の鈍化や欧米の消費抑制傾向が要因です。

▷ バーバリー:1,700人の人員削減実施

構造改革の一環として、バーバリーが全社員の約20%にあたるリストラを実施。他の大手ブランドでも同様の動きが予想されます。