コラム

RSUの確定申告と納税資金について

今回はRSUの確定申告と納税資金についてというテーマで今回は解説していきます。なおRSUとは何か、という点についてはいくつものサイトで説明がされているので、今回はその説明は割愛させて頂きます。下記のサイトも詳しく解説されているので、RSU自体について知りたい方はこちらをご参照下さい。
【RSUの確定申告】外資系IT企業出身の税理士が解説

さて、本題に入りますがRSUが付与される場合、会社によってはグロスアップの形で付与をして税金分についても会社が負担するというケースもありますが、通常は税金分は従業員が負担するというのが一般的です。

ここで、株価が右肩上がりの場合はVest時よりも売却時の方が株価が上がっているため、売却した際には売却価格 – Vest時の価格に税率を乗じた金額が課税されます。この場合は、納税者の方も儲かっている分に対して納税が発生するというのはイメージもし易く納得感はあると思います。

問題になるのが、株価が右肩下がりのケースです。この場合、例えばVest時の価格が@100円で年度末まで売却しなかった場合、この100円が給与所得としてみなされて、課税対象になります。

仮に税率20%とした場合、100円に対して20%の20円を確定申告で支払う必要があります。年度末の株価が例えば10円まで下がった場合には、株式を売却しても納税資金20円には足りず別の手段で調達する必要があります。

上記は極端な例ではありますが、Vestのあとに大幅に株価が下落してしまうと納税資金不足により資金ショートしてしまうという最悪のケースも発生する可能性があります。

これを防ぐための1つの手段がVestしたタイミングで売却してしまうという方法です。もちろん、Vestしたタイミングと同日での売却は難しいので多少のタイムラグは生じますが、株価変動の影響は少ないなかで納税資金を準備する事ができます。

また、これは現税制上の限界になるのですが、Vest時に100円→売却時に10円だった場合には売却損が90円発生しますがこの損失は繰り越すことが出来ずとなります。本来はVest時に上記の例で言えば所得税20円を支払っているので、売却損90円に対する所得税は還付されてもよいのでは?と個人的には考えるのですが、そこは現行の税制度はそのようになっていません。

このように考えると、RSUは株そのものを従業員に付与するので従業員側が損する事がない制度、と言われることがありますがそのような事はなく上記のようなデメリットがある点を、各自理解しておくことが必要になります。

ただし、上記のケースでも一定の節税の方法はあるので、もしRSUにおける節税対策にご興味があるかたがいらっしゃれば、問い合わせフォームより問い合わせ下さい。税理士の立場でのアドバイスを実施させて頂きます。