コラム

キャリアの観点からのAccounting vs FP&A

前回AP vs ARというテーマで経理内の業務という視点で記載してみましたが、今回はもう少し大きい視点でAccouning vs FP&Aというテーマを取り上げてみようと思います。

少し耳慣れない方もいらっしゃると思うので少しだけ説明を加えると、Accounitngはいわゆる経理部門で実績数値について責任を負う部署であり、決算や税務申告・監査対応なども責任範囲に含まれます。

一方、FP&AとはFinancial Planning and Analysisの略であり一般的には管理会計と捉えて頂くとイメージがしやすいと思います。予算の策定や予実対比の分析などが主な責任範囲になってきます。

さて、キャリアの観点からどちらが優れているのかという質問を非常に良く受けるのですが、正直両者は上下関係にある訳ではないためどちらが上、という関係性にはないので優劣はつけらないというのが回答にはなります。ただ、外資系で同じ職責という点で見ると、例えばマネージャー手前のシニア・アカウンタント vs シニア・アナリストで比較すると、後者のシニア・アナリストの方が給与レンジでは高い傾向にあります。これは、マネージャーレベルで見ても同一企業内でアカウンティング・マネージャーとFP&Aマネージャーを比較した場合、募集レベルで見るとやはり後者のFP&Aマネージャーの方が給与レンジが高い傾向にあります。

そして、CFOの職位の観点から見ると、間違いなくアカウンティングからプロモーションするよりもFP&Aサイドからプロモーションするケースの方が圧倒的に多いように見えます。これは、CFOの中心業務の一つに戦略の策定・実行という点があるのですが、これがFP&Aの予算策定プロセスや予実管理の業務とも関係しているため、結果的にFP&AがCFO業務の練習という側面も有しているためです。

また、FP&Aは適性が非常に強く出るのとスキルチェックが難しいという特徴もあります。前者については、予算策定の時期などは各部門から予算を取りまとめる必要があり高度なコミュニケーションスキルが必要になるのと、部門間のコンフリクトが生じた際のコンフリクトマネジメントも必要になります。また、ビジネスに対する深い理解と興味・広い視野を有している必要があり、コツコツと決められた仕事を着実にこなしていくのが好きだというタイプの方だと、FP&Aはストレスが溜まるかもしれません。

スキルチャックについては、Accountingサイドについては例えば国際会計基準のIFRS16 LEASEや税金の移転価格税制、税務調査の対応方法などをインタヴューで尋ねるとある程度スキルをチェックすることができますが、FP&Aの場合はそれが難しくインタヴュアーとして苦労した経験がありました。

ここまで記載すると、Accountingのメリットが全くなさそうに見えますがもちろんそうではありません。Accountingは上記でも触れたとおりスキルが比較的視覚化しやすいため、どの点が足りないか、どこを経験積んでいく必要があるかなどを自分で把握する事が出来るためキャリア形成がしやすいというメリットがあります。また、FP&Aよりは汎用性が高いため、異業種の転職という観点ではFP&AよりはAccountingの方が壁は低い感じはします。

上記それぞれの特性を考えたうえで、自分に向いたキャリアを築いていくのが良いのではと思います。