コラム

配当 – 資本準備金・資本剰余金を配当原資とする場合

今回は資本準備金、資本剰余金を配当原資として配当を行うケースについて、ブログに記載していこうと思います。私自身、簿記論の簿記の問題で問題を解いて以来実務でも1回しか目にしたことがありません。

日本基準上は、処理は明確で受取側は投資の払い戻しになるので、投資簿価を減額という処理になります。簿記の問題では、解いたことがあるものの、実務上でどのような場合に発生するのか、が私自身よくわからずでした。

そもそも資本準備金を配当に回すほど多額になるのか?という話がありますが、ここは従来の商法時代の1/2資本金組み入れなどの時代から、増資を繰り返していると結果的に蓄積されるというケースもあります。

では次に、どのような場合に、資本準備金及び資本剰余金からの配当を考えるか、ですがタックスメリットを取るためというのが一つあります。もう少し詳しく解説すると、外形標準課税のうち、資本割の金額を減らすためになります。

ここからは、少し事業税の細かい話になってくるので、不要な方は読み飛ばしてください。

外形標準課税は、資本割・付加価値割・所得割から構成されており、このうち、所得割は法人税等を構成し、資本割と付加価値割は租税公課として営業費用になります。そして、ここがさらに細かいのですが、外形標準か否かの判定は資本金の額で判定いますが、実際の資本割は資本金等の額で計算します。そして、この資本金等の額、は税務上の額であり、BSの資本の部からは算定ができません。ざっくり言うと、資本金+資本準備金+資本剰余金+税務調整といった形です。

そのため資本準備金、資本剰余金から配当を実施し、この金額を減らすと資本割が減少し、結果PLの営業費用の減少に繋がります。外資系は通常、営業利益が会社のKPIとなっていることが多いので、営業費用の増減というのは非常にシビアに見ています。

会計士としては、なかなかこの発想が生まれにくいのと、私自身考え方が少し凝り固まっていたなと気づきのあった瞬間でした。