コラム

生成型AIが経理に与える影響について

昨年末にOpen AI社のChat GPT Deep Researchの登場により生成型AIが、さらに一段階進んだ形になっています。また今年はエージェンティックAIがトレンドになることが確実視されています。

このような中、経理実務に与える影響について考えてみます。まず多大な影響を与えることは間違いなく、そしてその影響は大企業の方がスケールメリットもあり大きくなります。

例えば以下の記事によるとSMBCグループでは現時点で経理業務の75%を自動化しており、2025年中に90%を目指すとしています。AIを活用して経理業務の自動化を進めるSMBCグループの「人の生かし方」とは – (page 2) – ZDNET Japan

すでに経理業務の75%を自動化しているというのは、驚異的な浸透率ですが裏を返せばこのレベルまでは自動化が可能であることを示しています。上記記事内では、経理業務の具体的にどのような業務を自動化しているのかについては触れておらず不明ですが、75%という割合を見ても経理業務全体に及んでいると思われます。

経理実務の内容を鑑みるとレポート系の業務や、経費精算・減価償却など定例業務は間違いなく自動化しているものと思われます。個人的に気になるのは、税務申告や開示・監査対応などはどの程度自動化されているのか?という点です。

特に法人税や開示の部分などは毎年改正が入るため、生成型AIやRPAなどで自動化したとしても法改正があった際にはそれに即したかたちにする必要があるため、そのRPAや生成型AIのメンテナンスなどもどのように対応しているかが気になります。

そして、最も気になるのが経理の自動化にRPAだけではなく生成型AIも用いている場合、プロンプトをどのように組んでいるのか?という点です。プロンプトとは、生成型AIに対して行う”指示”部分に該当するものです。このプロンプトが適切に実行されない場合、誤った結果が出力される事になるためです。

少し極端な例ですが、生成型AIと会計システムを繋いでいたとして”月次決算の定例仕訳を入力して”、とプロンプトを入れたとして今月の2月の仕訳を入れるのか、来月の3月の仕訳を入れるのかがシステム側では判断できず、誤って3月の仕訳を入れてしまう可能性もゼロではありません。

このあたりの技術的な背景が明らかになってくると、現在のように限られた企業のみではなく中小企業にまで自動化が浸透してくるのでは?と考えています。