国際税務

イギリス籍の方から、海外の年金・不動産に関する税務のお問い合わせをいただきました

先日、日本にお住まいのイギリス籍の方から、母国で受け取っている年金や、母国に所有する賃貸不動産について、日本での税務上の取扱いに関するお問い合わせをいただきました。

近年、留学や結婚をきっかけに日本で暮らし始める外国籍の方が増えており、同じような疑問をお持ちの方も多いと思います。今回は、こうしたケースで一般的に問題となるポイントをご紹介します。

よくある論点

1. いつから日本の「居住者」になるのか

日本の所得税では、国内に住所がある方、または引き続き1年以上居所がある方が「居住者」となります。当初から1年以上の滞在を予定して来日した場合は、来日した時点から居住者と扱われるのが一般的です。ビザの種類ではなく、生活の実態や滞在予定で判断されます。

2. 「非永住者」という区分

外国籍で、過去10年のうち日本に住んでいた期間が合計5年以下の方は「非永住者」に区分されます。非永住者は、国外で生じた所得については、日本国内で支払われたものと、日本に送金されたものだけが課税対象となります。

3. 送金に関するルール

この「送金」の考え方には注意が必要です。海外の預金から生活費を日本に送った場合、それが過去の貯蓄からの送金であっても、その年に国外で生じた所得の範囲内で、所得を送金したものとみなされることがあります。

4. 海外の年金

母国の年金が日本で課税されるかどうかは、日本とその国との租税条約によって決まります。一般的な年金と、公務員として勤務したことによる年金とでは取扱いが異なることが多く、条約の内容も国ごとに違うため、個別の確認が欠かせません。

5. 海外不動産の賃貸収入と売却益

海外にある不動産の賃貸収入や売却益は、不動産の所在地国で課税されるのが通常ですが、日本の居住者であれば日本でも課税対象となり得ます。両国で課税された場合は、外国税額控除によって二重課税を調整します。

早めの確認をおすすめします

海外に収入や資産をお持ちの方が日本で暮らし始めると、ご本人が気づかないうちに日本での申告義務が生じていることがあります。来日後の早い段階で、ご自身の区分(居住者・非永住者)と、申告が必要な所得の範囲を確認しておくことが大切です。

※本記事は一般的な制度の概要を説明したものです。実際の取扱いは、個別の事情や適用される租税条約によって異なります。